「博士の愛した数式」

大変遅ればせながら、「博士の愛した数式」を読んだ。確か映画にもあったよなー、と思いながら図書館で借りて来たのだ。とても面白かった。ので、映画も観たくなり、ネットで調べると、なんと主人公の博士役が、寺尾聡だというのだ。(わたしは昔から寺尾聡の大ファンで、今でもよく、「Reflections」というアルバムを聴いている。)これは観なくては!と思い、DVDを借りて来た。交通事故で記憶が80分しかもたない博士の茫然自失とした、いや、自失はしていないから茫然とした雰囲気を寺尾聡が上手く演じている。実生活で、寺尾聡がぼーっとしてたらこんな感じかな、とも思うが、You Tubeで見てみると、意識のはっきりしたゴルフをする普通の芸能人だ(もちろん人前だからだが)。だから、やはりぼーっとした演技なのだ。さすが寺尾聡だ。家政婦役の深津絵里は、あまりにもにこやか過ぎて、初めはえー、と思ったが、観ていくうち、この役はやはりにこにこしている方がいいのかな、と思い直した。小説で読んだ記憶に照らし合わせて観てしまうので、あ、ここはああだったけど、こうしたんだ、などと思いながら観てしまう。大筋はもちろん変わってないけど、映画だと、浅丘ルリ子の存在が大きくなっていて、寺尾聡と今も愛し合っているという役だが、そこだけじとっとしている。がらりと雰囲気が変わりすぎる。小説だと、さらっとしているのだが。
しかし、面白かった。映画が作られたのは2006年だが、その頃わたしは死んでいたので、アンテナが張っていなくて、気が付かなかったのだ。
小川洋子にも興味を持ち、本屋で芥川賞の「妊娠カレンダー」という本を買い、読んだのだが、どこが芥川賞なの〜〜〜?!というくらい、つまらなかった。その本の中に3編小説があるのだが、他の2編の「ドミトリイ」と、「夕暮れの給食室と雨のプール」の方が、とても面白かった。「ドミトリイ」は、ラストがとてもスリリングで、最後であーよかった、と思う。お勧めだ。
また小川洋子の本を探しに行こう。でも、怖いのが多いんだよな。「博士の愛した数式」くらいの重さのものはないだろうか。これからも、是非書いて欲しい。